正しい男の選び方
秘密の報告会
それにしても、と、葉子は思う。
あの日、浩平が乗せてた女も初めて見る女だったような気がする。フェラーリの女だ。
サングラスをかけていたし、スカーフを巻いていたし、おまけに、車に乗っていて背格好も確認することができなかったから、今まで見た女の誰か、かもしれない。
かもしれないが、違う気もする。大いにする。
一体何人、女をたらし込めば気がすむのか。
昼休みお弁当を食べ終わって、ぼんやりそんなことを考えていた。
あの日は、出がけに浩平たちに出くわした以外は楽しい一日だった。政好ともいい感じだったと思う。
それなのに、あれから数日。
政好から音沙汰がない。
今日は楽しかったね、や、また今度どこかに行きましょう、ぐらい、言ってきても良さそうなものだが、全く何もなかった。
葉子は六角公園での出来事を思い返してみる。
アレはデートだよな……?
二人で公園に行ってお弁当を食べた。
政好は、その後、論文を熱心に読んで、ちょっとばかりヒマを持て余した葉子は、ケータイゲームなどをやり始めた。
……ってデートなのか? これは。
客観的に事実だけを拾っていくと、なんだか微妙な感じがしないでもない。
ぐるぐる考えているうちに、気がつけば、ヒマを見てはポケットにしまいこんでるケータイを取り出してじーっと見つめてしまうのである。