正しい男の選び方

7時かっきりに待ち合わせの場所に行った。

向こうから浩平がやってくる。葉子が不審に思っていると、近づいてきてにっこりと微笑んだ。

「おお、時間ぴったりだ。」

(時間ピッタリって……どういうこと?)

葉子が呆然としていると、浩平は楽しそうに葉子の手を取った。

「予約入れてる店があるんだけど、行こうか?」

「ちょ、ちょっと! 何でアンタがここにいるの?」

「何でって……そっちが誘ってきたんじゃない」

(へ?) 

葉子は浩平を誘った覚えなどない。
慌ててケータイを取り出すと、政好に送ったつもりのメッセージは浩平に送っていたのだった……。

(うわぁ……やっちゃったー……)

自分のマヌケさに自分でも呆れる。

「間違いなんだけど」

「うん?」

「アンタを誘ったのはちょっとした手違い。他の人を誘うつもりだったの。
 アンタとはごはんなんて食べたくもないし、はい、さようなら」

くるりときびすを返して葉子は歩き始めた。

「でも、どうせヒマなんだろう? 一緒にメシ食おうよ」

浩平は葉子の背中に声をかける。

「アンタと食べたらごはんがまずくなる」

「それでも一人で食べるよりはずっと美味しいさ。オレだって君と一緒に食べるつもりだったんだから、今さら帰るなよ」

葉子に追いついた浩平ががしっと葉子の手首を掴んだ。


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