春の扉 ~この手を離すとき~
プロローグ

桜 降るとき



『桜の君、花びら占いを教えてさしあげましょうか? 』

『……うらない? なぁにそれ?』


首をかしげるわたしに、おばあちゃんは優しい微笑みを浮かべている。


『心の中でお願い事をしてごらん。そしてね、降ってくる桜の花びらを取ることができたら、お願い事が叶うんですって』

『ほんとうに?……やってみる!』


わたしの願い事はたった1つ。





― おかあさんもいっしょにくらせますように






< 1 / 349 >

この作品をシェア

pagetop