スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


説明しながら、いろいろおかしいと気付いてる。

家庭訪問の件を相談するために家庭訪問するって、その時点でおかしい。

そして、つい追い掛けてきた先でライヴハウスの最前列に落ち着いてる今の状況、かなりおかしい。


そう、おかしいってことは自分でもわかってるんだけど。


「あんた、だいぶ変な人だな」


サラサラの長めの茶髪を掻き上げながら鼻で笑われると、その嘲笑が見惚れるくらいカッコよくても、カチンと来るわけで。


「失礼ですが! あなたは、らみちゃんとどういった関係に当たるのでしょうか!?」


「あ? それ、今言う必要あんのか?」


「だから、わたしはそれを突き止めるためにここまで追い掛けてきてて……」


ツイッと視線をそらすイケメン。

振り返ると、ウェイトレスさんがメモを片手にそこに立ってて、ニコッとして小首をかしげた。

ご注文をどうぞ、って感じ。


「おれはガス入りのミネラルウォーター。らみは注文したか?」


「クランベリージュースって言ったよ」


「よし。先生、あんたは?」


「へっ!?」


「ワンドリンク、チケット代に含まれてんだ。飲み物、いらねぇのか?」


テーブルの上に細長い形のメニューが置かれてることに、今に至って初めて気付いた。

細かい字でカクテルの名前が連ねてある。


< 14 / 240 >

この作品をシェア

pagetop