スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


無視することもできた。

誰かについて来てもらうこともできた。

でも、それじゃ前に進めないと思った。


わたしは、よく考えてみなきゃいけない。

どうして加納が怖いのか。

怖がることは正しいのか。

大学時代と今とでは、価値観が違う。

あのころの印象のまま逃げていては、何か大事なことを見落とすんじゃないかという気がしている。


要するに、心が揺れている。


頼利さんが見たという加納のSNSを、昨日わたしも見てしまった。

SNSでの加納は、完全なエリートで、完全なセレブ。

しかも、女性の影はない。

たびたび掲載される本人の写真には、女性ユーザーからの好意的なリアクションが殺到していた。


今のわたしなら、加納とうまく付き合えるんじゃないだろうか。

欲が鎌首をもたげている。

きれいごとだけで世の中が回らないことは、教育という狭い業界で生きているわたしにもわかる。

恋してなくても結婚できることも知ってる。


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