スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


16人のプレイヤーが創り出す、華やかなる大音量。

晴れ晴れとして軽快な滑り出しに乗せられて、あっという間に、きらびやかな音の世界に引き込まれる。


小洒落てアンニュイなサックスが歌って、明朗でストレートなトランペットがからかう、そんな掛け合い。

トロンボーンは、ときに柔らかくときに激しく吹き鳴らされて、うわつくメロディをつなぎ止めて支える。


低くリズミカルに踊るコントラバスが、表情豊かな澄まし顔のピアノと、音色を絡ませる。

なんて調和した不協和音なんだろう。

複雑で、そのくせ難解なわけじゃなくて、予想を覆すその響きが新鮮で、フレーズごとにドキッとする。


貴公子の叩くドラムが全部の土台で、しかもリード役だ。

鋭くひるがえるスティックが、ハッとするほど冴え冴えとしたフレーズを叩き込む。

さあ、行け、行け、行け!

凛々しく告げる声が聞こえそうな、高らかに雄弁なリズム、ビート、グルーヴ。


ドラムのセットアップを合図に、管楽器のハーモニーが音量と熱量を高めていく。

興奮の予感に、わたしの鼓動も速くなる。

否応なしに、苦しいくらいに。


パァン!

と、絶好調の最大音量が破裂して、わたしの意識は粉々になった。

音の奔流に呑み込まれて、体が勝手に動き出す。

呼吸が音に同期している。


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