スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「なぎさ先生、やっぱりそういうことだったの。おめでとう。でも、あんまり大きい声で言わないほうがいいわよ」


「はい?」


「保健室の先生からのお願いです。お仕事と恋愛を両立させたいなら、人生設計が固まるまで、避妊はきちんとしましょうね」


「……ち、違うっ! それ勘違い! そーいうことは断じてしてないっ! セッションしてただけだから! 激しい動きって、ドラムの演奏のこと!」


声を殺して笑ってる頼利さんの脇腹に、容赦なく肘鉄をお見舞いする。

わざと誤解を招く言い方しやがったな、こんにゃろ!


「痛ぇな。こんくらいでカリカリすんな。あの男の前で、らみをおれらの子どもって言ってもよかったんだぞ」


「メ、メチャクチャすぎ!」


「らみの年齢的には、隠し子だったとしても、そこまでメチャクチャじゃねぇだろ」


「き、教師のわたしに、かかか隠し子がいてたまるか!」


いいように手のひらの上で転がされて、おもしろがられてる。

悔しいんだけど、今は勝てる気がしない。


笑ってる頼利さんは、とにかく無駄にイケメンで。

そんな楽しそうな顔されたら、こっちもつられるしかないじゃないか。

怒りたいのに笑っちゃって、わたしは微妙な顔になる。

またその顔を笑われた。

だから笑うなってば。くぅぅ。


でもね、楽しいんだ。この人といると楽しい。

何を起こしてくれるか予測不能で、わたしはわくわくしてしまう。

そして、実感する。

楽しいことはいいことだ、って。


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