スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「ああ、なるほど。車の運転手がご親戚だとか習い事の先生だとか、その子どもさんのお知り合いのかたならいいですね」


「だったらいいんですけどね、習い事にも塾にも通ってないらしいんです。

家族構成のことも、母子家庭としか聞いてなくて、前任の先生も転勤されてしまって話をうかがえないし、その子本人とはどうにも意思疎通が難しいし、とにかく動いてみるしかないんです」


心配が、単なる考えすぎや思い過ごしだったら、それで全然かまわない。

だけど、こんなに不安なのにそのままほっとけるかっていうと、わたしの性格上、絶対に無理。


お節介なのはわかってる。

余計なお世話かもしれない。

とはいえ、こんなんじゃなきゃ、小学校の先生なんて職業は務まらない。


教え子の名前は、上條らみ【かみじょう‐】ちゃんという。

わたしが受け持つ4年2組の中で、いちばん難しい子だ。

難しいってのは、大人の都合な言い方なんだけど、扱い方とか付き合い方とかが難しいって意味で。


まず、集中力の配分がちょっとほかの子と違う。

テストの点数は全部抜群にいいんだけど、その授業態度でどうして、と不思議になることもあったりする。

ちっとも話を聞いてくれないときと、すさまじく集中するときのムラがすごい。


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