スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「女の子たちはプライド高いものね。それに、来月頭の授業参観で合奏を披露する予定なんでしょう?」


「うん、だから時間がないの。なのに、入り口のところで行き詰っちゃってる感じで」


「2学期には、音楽の研究授業の発表を控えているのよね?」


「そう、それ。しかも、研究授業のテーマは『合奏を楽しむ』ってことで、すでに申請出しちゃってるし。今の状態じゃ、楽しむレベルに持っていけないよ」


子どもたちの保護者さんが授業を見に来る授業参観は、わたしたち教員にとって、試練のひとつだ。

試験と呼んでもいいかもしれない。

普段の様子を見せるのが授業参観の趣旨とはいえ、いつもよりちょっと力を入れてしまうのもまた事実。


例えば国語の授業で、いつもなら本読みだけで済ますところを、画用紙に場面の絵を描いて黒板に貼って、見た目にも華やかにしてみる。

やってる内容は普段どおりだ。

でも、準備に時間をかけてみたくなるんだ。


授業参観よりも難易度の高い試練もしくは試験は、研究授業の発表だ。

教育委員会のお偉いさんや近隣の学校の先生たちが見に来る、という恐怖の授業参観。

もちろん、事前事後のレポートに、お偉いさんに取り囲まれての反省会付き。


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