俺の半径3メートル以内に近寄るな。 【完】

もう少しで怒りで爆発しそうになる自身を落ち着かせた。




改めて深呼吸をし、冷静に保った。




「３メートル以内に近寄るなって言うけど、私、柊くんと隣の席だからいつも３メートル以内の範囲にいると思うんだけど」




私は柊くんとの間に机一個分を空け席に着いた。




「…ほんと最悪だよ。女が俺の領域内にいると思うと」




彼は本当に嫌そうな口調でそう話した。




「…どうも、すみませんね」




私は少し嫌味っぽくそう言うと、持っていた資料に手を伸ばし作業を進めた。




こんな人と話してても無駄ということがよくわかった。

もう話しかけるのはやめにしよ。




女嫌いだから仕方ないって分かってても、流石にこれだけのことを言われるとこちらまでもがイライラしてしまう。




一旦冷静にならないとね。




それからというものはお互い一切話すことなく、無言で作業を進めた。




時間が過ぎるにつれ、着実に山積みとなっていた資料も少なくなってきていた。