水玉模様
不思議なのは、篠田くんが森さんの存在を認めないという事。

彼女なら、彼女って言えばいいのに…。

まぁ否定もしないんだけど。

森さんがやたら堂々としてるから、逆にそっとしてて欲しいだけなのかな。

篠田くんが森さんと付き合い始めてからは3人でつるむ事はなくなったけど、あたしと充也はクラスが違っても相変わらずで、1人分の隙間が、余計に想いを膨らませるーーー…。

あたしは、篠田くんの事が好きなんだと、今更ながらに実感する瞬間でもあった…。


そしていよいよ本格的な夏がきても、外に出せないあたしの想いは、太陽といい勝負なくらいに熱を帯びていた。

そんなあたしを、あたしが篠田くんを見ているのと同じ目で見ている人がいるなんて、気付きもしなかったーーー…。

雨粒の音が水玉をつくる6月、それは不意討ちでやってきて、あたしの中にも小さな水玉をつくっていったんだ。



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