二度目は誠実に
そんな拓人の真意を沙弓は薄々と感じ取っていた。拓人が改めてちゃんと話したいのなら、自分は納得してもらえる言葉で返そう。


「お任せします」


任せられた拓人は早々とイタリアンレストランに電話をして、個室を予約をした。


そして、迎えた翌日の夜。同じオフィスに勤めているのだから一緒に行けばよいものの……

「用事を済ませてから行くので先に行っていてください」

沙弓はやんわりと一緒に行くことを拒否した。拓人は先に着いて、メニュー表を広げる。三種類のコース料理が書かれていた。

勝手に選べないなと沙弓の到着を待つ。


『すいません。一時間くらい遅れます』


沙弓からメッセージが届いて、拓人は首を傾げる。おかしい……拓人が総務部を出るとき、沙弓も終わったところでパソコンの画面は真っ暗だった。

用事を済ませるといっても、そんなに時間はかからないと言っていた。先に出たから、沙弓がすぐに出たかどうかは分からない。

もしかして、まだオフィス?

なにかトラブルでも?
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