二度目は誠実に
純太は自分が頼りないということを自覚している。だから、しっかりしている人に惹かれるのは分かるけど、それでは成長しない。


「内田さー、自分を頼りないと思うなら頼れる男になろうと思わないの? 頼りない男がいいなんて子、あまりいないと思うよ。ね、谷。谷はどう思う?」


沙弓も拓人と同じことを思っていた。だけど、自分に話を振られるとは思っていなかったので、あと少しで食べ終わるところだったが、箸を置いて純太を見る。


「そうですね。私も大石さんと同じように思いますね。まずは頼られる男になろうと努力したほうがいいよ。そういうとこに魅力は出てくるんだから」


拓人に答えるというよりも純太に答えた。拓人は自分のほうを見ない沙弓に苛立ちを感じた。でも、それは隠す。


「ほら、やっぱり女性から見ても同じことを言うだろ? 内田、頑張れよ」


「はい。強くなろうと思います」


純太はワイシャツの袖をまくって、腕にグッと力を入れた。強くなるために体を鍛えると考えているのだろうか。

拓人は見当違いに張り切る純太に苦笑して、再度「頑張れ」と応援した。
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