二度目は誠実に
「ごちそうさまでした！」


「いいんですか？ 私まで」


拓人が３人分の食事代を支払った。純太は元気よくお礼を言うが、沙弓はまだ自分の分は払おうと財布から千円札を出そうとしていた。

拓人はその手を軽く押さえる。


「いいんだよ。滅多にないことなんだから」


「そうですよね！ 考えてみたらこの三人で食事するの初めてですよね」


「でも……」


「いいから、それはしまって。それにしてもさー、谷の手、すべすべしてるねー」


拓人と言葉に沙弓は自分の手に拓人の手が重なっていることに気付いて、ハッとなる。

そして、慌てて振り払った。


「な、何を言うんですか！」


「なにって、褒めているんだけど。なー、内田」


「そうですよね。谷さんの手、白くてきれいですものね」


純太は拓人と同じ男である。それに先輩なのだから、拓人に同意したり、加勢したりするのは当然ともいえる。

沙弓は納得出来なかったが、これ以上話をする気が失せたので会話を続けることをやめた。

これ以上続けてもイライラさせられるだけだ。
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