二度目は誠実に
かわいいと言われて、頬を赤くした沙弓は膝の上にいたうさぎを解放させて、拓人を見た。うさぎは自由に動き回っている。


「忘れてはいないですけど……」


もちろん忘れてはいない。お互いのことを知るためのデートであることはちゃんと覚えている。

でも、沙弓は単純にデートというよりも動物との触れ合いを拓人と一緒に楽しんでいるという認識だった。動物さえいれば、一緒にいるのは拓人でなくてもいい。

例えば、純太や課長でも楽しめたに違いない。

でも、本当に他の人でも同じように楽しめたのかな……沙弓は考え直してみる。


拓人としては、拓人でなければ楽しくないという思いがないと……拓人がデートに誘った意味がない。


「まあ、谷が楽しそうにしているのを見ているのは楽しいけどね。ここに来てよかったと……あれ? うわっ!」


「えっ、わっ!」


空から雨粒がポツポツと来たと思ったら、すぐにザーと降ってきた。外にいたうさぎたちは素早く小屋に避難していた。
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