二度目は誠実に
二人も素早く避難を! と拓人は沙弓の手首を掴んで、人間も入れる小屋に入る。同じように外にいた人たちがそこに避難していた。

雨が降りだしてから外にいた時間はほんの数分だったが、バケツをひっくり返したような降り方だったから、二人はかなり濡れてしまった。

沙弓はカバンの中にあったハンドタオルを拓人に渡す。


「すいません、小さいタオルしかなくて」


「ううん、ありがとう。でも、谷も拭かないと」


「大丈夫です。もう一枚あるので」


沙弓はカバンの中から別のハンドタオルを出し、濡れた髪や顔をそっと拭く。

服もかなり濡れていて、ジーンズは簡単に乾きそうもない。拓人はスマホを手に持って、小屋の端に移動し、ある場所へ電話をかけた。

沙弓は窓から空を見上げた。上空は風が強いようで雲の流れが早い。少し待てばやみそうな感じで、実際雨は少しづつ弱まってきていた。


「濡れたままでいて風邪を引いても困るから、ちょっと近くに移動しよう」


「移動ですか?」


「うん。車での5分くらいで着くと思うから、小降りになったら向こうの店で傘を買ってくるから待ってて」
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