東と西の恋

アイツなりの…



「ん…。ん?」

気づいたら私は自分のベットにいた。
えーっと?なんで?
いや!しっかりしろ思い出すんだ私!
確か桜の大樹で東雲に蘭のこと話して、泣いて……泣いて泣き疲れて急に気が緩んで意識が薄れて………んで、

・・・。

寝た?
それから私はどうなったの?
思わず布団をめくり自分の服を見てみる。
よし、大丈夫ちゃんと昨日着てた和服着てるから何もないね。
あ~よかった。
そこでふと、目に入った。
時計が。
みるみる血が引いていく。

「なっにがあ~よかった、よー!!
あと五分で家出ないと学校に間に合わないじゃない!」

大急ぎで着替え変装をし玄関に行く。
そこで母にあった。

「あら、やっと起きたの?何度も声かけたんだからね。
あ、あとこれからあんまり無理者ダメよ。


「え?」

「昨日、同級生の東雲くん家まであなたを連れてきてくれたのよ。
いいヴァンパイアね。」

あいつ正体うちのお母さんたちに明かしたんだ。

そしてお母さんの横から

「父さんは認めないからなっ!!!」

「あなたは黙ってなさい。」

と何故か涙ながら訴え母に静かに叱られている。
何を認めるの?
ってのんきに話してる場合じゃない!

「じゃあ行ってきます!」

と慌ただしく家を飛び出した。



…………………☆

あれから猛ダッシュで学校まで走りどうにか間に行った。
疲れた〜。
HRまでまだ少し時間があるのでゆっくりと教室に向かっていると

「ねえ、あの子よ」

「うそ!どれどれ…ってふつーじゃん!
むしろブサイクっ!!!えーなんでー」

「ほんとよね。」

私を見てヒソヒソと話している人が多い。
なんで?

「なんであの子なのよ。私のほうが絶対いいのに!もしかして!東雲くんってブス専っ!!」

アイツのせいかーっっ!!

どうやら私が東雲を誘惑したと噂が流れているようだ。
やめてくれ(泣)何が悲しくてあいつに誘惑しなきゃならんのだ。

心の中で涙を流しながらクラスの戸を開けると

シーン

今までしゃべっていたクラスメイトが喋るのをやめ一斉にこっちを、私を見る。
怖い。沈黙が怖いの初めてだよ(泣)

大号泣を(心の中で)していると私のしめ縄のような長い三つ編みが片方少し引っ張られる。
その元をたどると、

「おはようさん 月華ちゃん」

と、ナチュラルにウインクをしながら東雲が私の髪を持っていた。
そして持っていた私の髪を口元に近づける。

これはあれだ、髪にキスするやつだ。
こんなみんなが私達を注目してるところでやられてみろ、女子達が……。
そう思ったら本日二度目の血の気が引いていく。

「お、おはよ」

と必死に笑顔を作り髪を取り戻す。
ふつーの女の子なら髪にキスされそうになってドキッとするのに私の場合違う意味でドキドキした。

でも危機一髪で、髪取り戻したけど絶対女子ほとんど気づいてるよ。
だって睨んでくるんだもん。
視線が痛い。すごく痛い(泣)

あー!もうっ!東雲め 後で見てろよっ!!!!

あ、でもあいつのおかげで色々吹っ切れたし少し元気にはなったし、アイツなりに私のこと気遣ってくれてるのかな?
もしそうなら気遣いの仕方が違うがな!

さぁーて、今日も頑張りますかっ!!

そうして気合を入れなおすが私はまだ感じていなかった。
着々と不吉な足音が近づいていることを。


< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop