二度目の初恋
「亮太のお友達で社長さんって凄いですね」

棒読みのように淡々と褒める。

「次は小鳥遊さんの番だよ」

時任さんは私に自己紹介の催促をした。

え?私もするの?とおもったが

「小鳥遊円といいます。亮太とは家が隣で幼なじみです」

渋々挨拶をする。もちろん笑顔を作って

「仕事は?」

「・・・・・・家政婦してます」

すると時任さんは少し驚くような表情を見せたがすぐに笑顔になった。

「凄い!素敵な職業だね」

これには正直驚いた。

だって私が家政婦だというとテレビの影響だろうかちょっと引き気味な態度を取られる

事があるから時任さんもきっとそんな態度を取るのだろうと思ってたらだ。

いろんな人を見てきたからわかるけど社交辞令的な言い方ではなく本心だとわかった。


亮太も私の仕事を同じように素晴らしいって言ってくれた。

時任さんは2人目だ。


って・・・やっぱり私は諦めきれないのだろうか

なんでも亮太に結びつけ思い出してしまう。

もう諦めなきゃいけないのに・・・

もう亮太は別の人のものなのに・・・・・・

泣けてくる・・・急に熱い物がこみ上げてきたその時


私の左手を時任さんがぎゅっと握った。

驚く私に

「あともう少し我慢しろ。その後俺がお前の話を聞いてやるから」と

私にしか聞こえない小さな声で囁いた。


私は小さく頷いた。
< 8 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop