ダブル王子さまにはご注意を!





待ち合わせは駅前のクリスマスツリー。恋人たちの定番スポットだ。


ドキドキと高鳴る心臓をコートの上から押さえて、吐く息の行方を眺めてた。


やがて……待ち合わせ15分前に、井口くんが走ってくる姿が見えた。


「すみません、お待たせました!?」

「ううん、私が勝手に待ってただけだから……」


息を弾ませる彼は汗だくで、私の為に急いだんだ……と感動した。そんな彼がじっと見てくるから、気恥ずかしくてうつむいた。


「ごめん……やっぱワンピースなんて似合わないよね……」

「ち、違います! そうでなくて……あ、あまりに真由理さんがきれいなので……」

「……!」


どきん、と心臓が跳ねた。耳まで真っ赤になった彼を見たら……穏やかであたたかい気持ちで胸が満たされる。


「と、とにかくいきましょうか。レストラン予約してありますから」


さ、と伸ばされた手に自分の手を重ねて繋げば。お互いにぬくもりを感じてあたたかくなる。


これでいい……。


私にもやっと穏やかなしあわせがくるんだ。


そう思って微笑みあい、一歩を踏み出そうとした時――


唐突に、身体が後ろに引っ張られた。


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