ダブル王子さまにはご注意を!
気がつけば腰に腕が回され、強引に引き寄せられてた。
ひんやりした空気に乗って香ったのは……爽やかなパフューム。それを感じた瞬間、心臓があり得ないほど跳ねた。
――まさか。
ううん、でも……この薫りとこの力強さは……。
期待をするな、と思うのに。喜んでるバカな自分がいる。
「こいつはオレのものだ。勝手に連れてくな」
「……っ」
まさか、と思った。
でも、4年ぶりに聞く懐かしい声に――諦めて空っぽになったはずの心に、一気に喜びが満ちてきた。
「一樹!」
何も考えないうちに、彼の名前を呼んでいた。しがみつこうと腕を伸ばした……けれど。
井口くんの呆然とした顔を見たら、すぐに意識が現実に戻っていった。
「は、離して!」
私は、一樹の腕を振りほどこうと躍起になって、抵抗をした。
「私は、井口くんとデートの最中なんだから邪魔しないでよ! あんたなんか部外者だから邪魔する権利なんてない」
「嫌だ」
一樹は呆れるほどのわがままぶりを発揮した。
「もう、離さないとオレが決めた。だから誰にも譲るわけがないだろう」
「なにそれ! だいたい、私の告白を4年もスルーしておいて今さら! それに、手紙だって……毎週送っても返事は四季に一度って……しかもひと言だけ。もう1年無視してきて……虫のいいこと言わないで!」