ダブル王子さまにはご注意を!
「あ~やめやめ! 落ち込む理由なんて、なし!」
私は思いっきり叫んで伸びをした。隣のバカが目覚めようが構うもんか!
ぱしぱし! とほっぺたを叩いて気合いを入れ直す。私は、私。一樹や夏樹なんて、関係な~い!
「よっしゃー! 頑張って退院して、またバリバリ働いちゃるぞ! おひとりさま上等だ~」
うおおぉ、と青空に向かって吠えれば、「うるせ」と苦情が下から聞こえたけど。気にしな~い!
「こんな場所で妙な雄叫びあげるな。迷惑になるだろが」
「いいの! 周りには誰も居ないから」
「オレがいるだろ!」
「え、あんたオレって名前だったの? 知らなかったわ~」
「アホか!」
ぎゃんぎゃんと言い合う、いつものやり取り。ほらね、やっぱりコイツとは馬が合わない。
「もうちょっと静かに振る舞え! だから男に相手にされないんだろ」
だから、一樹もいつもの調子で好きに言ってきたんだと思う。いつもなら、私はそこで勢いのまま好きに言い返してたけど……。
なぜ、だろう。
一樹のそのひと言が、予想以上に心にダメージを負わせてきた。
「…………」
言いたいのに、言い返さなきゃと思うのに。焦れば焦るほど言葉が出ない。