彼女にしたい彼女の秘密。
一瞬逡巡して、でも成瀬はすぐ口を開く。

「私は、拓が起きたら拓のことまた好きになるかも知れない。でも、こんなにも私のこと考えてくれて動いてくれて、……甘くない恋でも小説みたいに必死に受け止めてくれる植田が好きだよ」

拓のこと好きじゃなくなる保証はないよ。

小声で囁かれる。

そんなの。
解ってる。
そん時は諦めるか、あいつと勝負しよう。

そして、少しだけまた逡巡して、成瀬が口を近づける。



甘くないくちづけは、俺の全てに、染み込んで、消えた。

fin
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