リナリア
「李蘭は誕生日おめでとうって言ってもらえるのを、毎年気にしてたのよ。それがなくなったら、もう頑張れないからあんたと離れる決意をしてたって。それに…連絡も李蘭からだし、会う度に泣いてたそうよ。会えなくても泣いて、会えても不毛な関係を確認してしまって悲しかったって。話す前になんで抱いたりしたの?」

あんなに泣いた李蘭を初めてみた…。

「李蘭もオレが好きなのか?」

びっくりしている結城の顔。

お互い伝えあわずにいたから。

ややこしく拗れてるわね。

「李蘭が好きでもない男と寝るような女に見えた?ずっと友達してたのに。」

「……。抱いてるときはオレを好きだと言ってるように見えた。それを確かめたくて、先に抱いたんだ。気持ちを言う糧になるように。」

「それが間違いね。」

絶望的に落ち込んだ結城を前に、さらに突き落とす私って悪女かな。

「李蘭はもうあんたをふっきったわよ。意気地無しのヘタレ。1年ぶりに会って、また変わらなくて、しかもあんた最近女といちゃついてたんでしょ?それも見てたから、まだ自分の立場はあんたの中で変わらないんだと、思ったって。同情の余地もない。」

「一華。」

颯が私を止めようとするけれど。

「スペインの転勤だって、あんたから逃げたかったから、引き受けたようだけど、待っててももう李蘭は戻らないわよ。きっとあと1年働いたら日本に戻らず、今の仕事やめるわよ。確かに李蘭も気持ちを言わなかったから、そこはおあいこだけれどね。」

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