純愛小説家
††エピローグ††
人は。
衝動に突き動かされて生きてく生き物だ。

時にはそれを抑えられても。
何かしらの衝動に逆らうことが出来ず。
衝動のまま、動いてしまう。


俺には一度しかない経験。


それで後悔もしたけど。
時にはそれも、必要なんだと学んだ。

ずいぶん、回り道をして。
時間はかかってしまったけど…。






「結婚は、出来ない…」


あの後。
樹(いつき)は俺の子だと認めたものの。


「ひかり…」
「ダメだよ。私が宥に知らせず、一人で生んだ子なの。彼を傷つけて、宥も傷つけたのに。結婚なんて、出来ない…。責任なんて、感じて欲しくない…」


ひかりはかなり頑なで。

樹を一人で、一生、一人で育てていく事が、俺や婚約者へのつぐないだと思い込んでいて。

その気持ちは、なかなか揺らいではくれなかった。

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