農民生まれの魔女

パルソン家に迷惑をかけてはいけない

イヴはそう心の中で唱えて
ケイト君の隣を通り過ぎた

「ちょっと待って、なにも無視する事は無いだろ
ローズに何か言われたならなら気にしなくてもいいよ
あの子いつもそうだから」

掴まれた腕を振り解こうとして力を入れるも
掴む力が強くなる一方だった

「離して下さい」

「なんで?」

「迷惑です」

そう言うとケイト君は私の腕を離してくれた

「イヴちゃんすごいよね僕に向かって
こんなにズバズバ言えるなんて
お陰で自分を見失わずに済むよ」

いきなり、優しく儚げな顔になって
イヴは言い過ぎだったかなと思った

だがそれは相手のイヴを油断させる作戦だった


いつの間にかイヴの後ろは本棚になっていた

段々とケイト君がこちらに向かって来るので
下がろうと思ったらもう逃げ場がなかった

「な、なに」

イヴの顔の横に手をつき
腰をがっちり掴んで離さない

「僕会った時から気になってる事が有るんだ」

「え?」

そう言って神々しいほど整った顔を
近付けて来た

イヴは反射的に顔を背けた

「カチャリ」

ん?




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