俺様副社長のターゲット
隣を歩く陽輝を見上げた。視線に気付いたのか、陽輝の視線が向けられる。



「見直した。」


「はっ?」


「だから見直した。それに尚輝先輩の事も。」


「ああ~、内緒だからな。兄貴、絶対に朱里さんには聞かれたくないだろうし。」



陽輝がニヤリと笑った。その顔にクスリと笑みを漏らした。



「でも本当の事だから。兄貴の机には朱里さんの高校時代の写真が飾ってある。だから、俺は朱里さんを知ってたんだ。」


「高校時代?なんか恥ずかしい。」


「ずっと飾ってある。別れて何年も経つし、彼女もいたと思う。だけど朱里さんを忘れた事はなかったと思うよ?」


「彼女に失礼ね?尚輝先輩も。」


「実家に連れてくる女はいなかったから、付き合ってた女は知らないよ。」


「そっか。」



私は立ち止まり陽輝を見上げた。隣を歩く陽輝も立ち止まった。



「今日はありがとう。陽輝くんの事を見直した。」


「今度、お礼に食事に付き合ってよ。」


「ふふっ、私なんかで良ければ。その時は奢るよ、先輩だし。」
< 158 / 229 >

この作品をシェア

pagetop