俺様副社長のターゲット
陽輝と二人で夜の街を歩いた。不思議な感じだ、陽輝と歩くなんて。



「朱里さん、兄貴の話は本当だから。」


「へっ?」


「兄貴の机に高校時代の写真が飾ってある。だから、俺は朱里さんを知ってた。」


「そっか。」



陽輝の話は擽ったい気持ちにさせる。尚輝の想いも本当だった。



「兄貴を宜しく。」


「へっ?」


「朱里さんの副社長秘書の件。親父に頭を下げてお願いしてた。必死だったよ。」


「………私なんか、そんな価値ないよ。」


「それは兄貴が決める事だし。」



尚輝は私の何処が良いのか……。



「兄貴は本気だから。」


「…………。」



返す言葉が見つからないまま、二人で駅に向かって歩いた。
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