俺様副社長のターゲット
秘書課は15階だ。その上は………役員専用のフロアーのようだ。


エレベーターから出ようとすると尚輝も一緒に出ようとしている。



咄嗟に尚輝の腕を掴んだ。



「尚輝先輩、いいから。」



「慌てすぎだろ。名前で呼んでる。」



「あっ、すみません。でも、ここからは一人で大丈夫ですから。」



軽く頭を下げてエレベーターから出ようとした。それでも付いてくる尚輝を見ていれば、そのままエレベーターを下りてしまっている。



私も慌ててエレベーターから下りた。



「副社長、本当に大丈夫です。一人で………。」



「怖いのか?」



「えっ?」



「俺と一緒だと怖いのか?また周りから何か言われるんじゃないかって。」



振り返った尚輝を見上げて目を見開いた。



「尚輝先輩?」



「頼れ。今度こそ、俺を頼れ。もう昔の俺じゃない。」



尚輝の後悔に滲む表情が私をじっと見下ろしていた。
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