俺様副社長のターゲット
「もう昔の俺じゃない。ほら、行くぞ。」



尚輝が私から目を逸らして歩きだした。尚輝のあんな顔を見たのは初めてだ。



再会してからの尚輝はいつも鋭い目を向けて、私を憎んでいるように思えた。



けど、尚輝の後悔に滲む表情を見た時、言い返す言葉が出てこなかった。



前を歩く尚輝の背中を見つめる。



『過去の二の舞にならない?』



『尚輝先輩………きっと二の舞になるよ?』




尚輝の背中に話し掛ける。私は高校時代の女子の反応が脳裏を横切る。



『尚輝君の新しい彼女?』



『尚輝君、今日の放課後、遊びに行こう?』



『綺麗な子。でも子供の相手ばかりは疲れるでしょ?息抜きしに行かない?』



いつも尚輝の周りには女がいた。私と一緒にいても平気で尚輝を誘う。



『後で合流するから。』



『息抜き?ははっ、そうだな。たまには皆で盛り上がるか?』




尚輝も平気で女達の誘いに乗る。だけど浮気はしていないと信じていた。
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