俺様副社長のターゲット
「だけど………朱里は俺に相談するべきだったんじゃないか?」



「………。」



尚輝の言葉に答える事が出来なかった。逸らされていた尚輝の視線が私に向けられる。



「朱里も俺に頼るべきだったんじゃないか?俺は朱里の彼氏だったし、何でも相談してくれても良かったんじゃないか。」



「…………。」



「それとも………簡単に別れればいいって思う相手だった?そんなに俺を好きじゃなかった?」



「…………。」



「俺は初めて本当に好きになった女だった。別れを言われた時も縋りたかった。けど、お前の泣きそうな顔を見たら出来なかった。」



尚輝がソファーから立ち上がり、私の目の前に立った。私は尚輝を見上げた。



「俺を好きじゃなかった?」



「…………好きだったよ。」



私は尚輝に背を向けて扉に歩きだし、扉のノブに手を掛けた。



背後に尚輝の気配を感じたと思ったら、尚輝の両手が扉を押さえるように私の顔の横に両手をついた。
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