俺様副社長のターゲット
ピンポーン………。



「着いたよ、開けて。」


「朱里、遅かったな。」



煌太の不機嫌な声がインターフォンから聞こえてきた。玄関の鍵の開く音が聞こえた。


私は玄関を開ければ、煌太が不機嫌な様子で私を見下ろしていた。



「煌太、朝から機嫌が悪くない?」


「朱里が素直に会いたいって言わないからだろ。それに、もう14時だぞ。」


「ごめん、ごめん。昨日、遅かったからシャワー浴びてきた。」



煌太の後に続いて部屋の中に入っていく。煌太は一人暮らし、私は実家。自然と煌太の部屋に来ることは多い。


ワンルームの部屋には生活に必要な物しか置いていない。私はテレビの前にあるソファーに腰掛けた。



「どうだ?新しい職場。」


「うん、皆、優しくて良かったよ。友達も出来たし。」


「そうか。俺は寂しいけどな、朱里と離れて。」


「煌太には同期がいるし、環境も変わってないし。あっ、もしかして、私がいなくてモテてるとか?煌太、結構人気あるしね。」



私はクスクスと笑って冗談のつもりで言ったが、煌太の不機嫌さが更に増した気がした。
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