俺様副社長のターゲット
ふと周りに視線を向ければ、社員がチラチラと私達を見ている。私は咄嗟に腕を振り払った。



「朱里?」


「副社長、本当に大丈夫ですので。お先に失礼します。」



私は早足でロビーを駆け抜ける。社員の視線が気になって仕方がない。



「朱里、待て!」



副社長の大きな声に足を止めた。チラリと周りを見れば、注目の的になっている。


私は副社長に早足で近付いていく。



「副社長、ここは会社です。名前で呼ばないで。」



副社長の目の前に立って小声で怒った。副社長がじっと私を見下ろしている。



「他の社員が変に思うでしょ。名前で呼ばないで。」


「他の社員………。」



副社長が視線を私から周りに向けた。私達を興味津々に見る社員達に気付いたようだ。
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