アラビアンナイト


奏太に手を引かれながらも、私の頭の中は真っ白だった。

何にも考えられないまま集合場所に戻った私は、奏太に手をつながれたままだということに気づかないくらい放心していた。

とっくに集合していた4班のところに着いた時、斧田さんが私たちを見てにっこり笑いかけてきた。

同時に刺すような視線を感じてそちらを向くと、ジェイクが奏太を睨むようにしていて。

とっさに奏太を見ると、こちらもジェイクを睨み返すように怖い顔をしていた。

私が何かを考える前に忍ちゃんが走り寄って来て、

「ありす!いないから心配したわ」

と、さりげなく私を奏太から引き離してくれたことは、山を降りた後でまっつんから教えてもらった。

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