アラビアンナイト


変なの。
少し前までは、きっと斧田さんと一緒に喜んでたと思う。

高藤さんのことをよく知りもせず、斧田さんと一緒になって悪く言っていたのは、別に転校生の2人と特別仲が良い彼女を妬んでのことじゃない。

ただ単に、斧田さんに反論できなかっただけ。

いつもいるグループの、リーダー的な存在の彼女に反論できるほどの度胸がないし、反論するほど高藤さんと仲が良いわけでもないっていう情けない理由。

バスでは思わぬ形で助けられちゃったけど、だからといって仲良くなろうと思うほどの気持ちの強さもなく。

高藤さんとジェイク君の仲が、だんだん親密になってきているのは誰の目にも明らかなのに。

それにも関わらず、この林間学校初日の夜、2人の仲を裂こうと画策していた斧田さんを見て思ったことは、


”そんなことして何が面白いんだろう”
とか、
”それでジェイク君が高藤さんとうまくいかなくなったとしても、斧田さんを選ぶ可能性は低そうだけどね?”


っていうことくらい。


ただ、いろいろと悪巧みをしている斧田さんの手伝いをさせられているってわかっていても、断ることができなくて・・・。

気は乗らないながらも、セリム君の呼び出しを手伝ったりしていた。
< 622 / 713 >

この作品をシェア

pagetop