アラビアンナイト


俺を見た瞬間から ”女” を前面に押し出しながら絡みついてくる女達は、どこの国へ行ってもいる。

おまけに俺がサウード家の王子だと知ると、それにさらに ”人としての厭らしさ” のようなものがまとわりつく。

そうなった人間の顔はどいつもこいつも同じで、見るたびに反吐が出そうになる。

サオリも今までに出会ってきた女達と全く同じ経過をたどって同じ顔をするようになった。

全くもって勘弁してほしい。


『はぁ』

思わずため息をついた俺の目の前に、俺の右腕とも言えるセリムが血相を変えて駆け寄ってきた。
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