アラビアンナイト


桂木を先頭に食堂に入ってきた風呂上がりの女子たち。

入学当初から日本人離れした容姿で注目されていた桂木に男子の目線が釘付けになるのは納得だった。

でも、その一団の最後尾から杉田と一緒に歩いてきたありすを、驚きの表情で見ている男子が相当数いることにすぐに気づかされた。

しかも、ありすを見て驚いた顔をした後、頬を赤らめてる奴がほとんどだったりする。

それもそうか。

どちらかというとボーイッシュなイメージのありすが、今は清楚なワンピースを着て歩いている。

それだけでもありすを知る同級生男子からすればギャップ萌えなのに、風呂上がりの上気した肌、ざっくりとまとめ上げられた髪から覗くうなじと、そこに流れる後毛。

惜しげもなくさらされた華奢な鎖骨がどれだけ男心をくすぐるか、わかってて…やってるわけないよな……。

軽い眩暈のようなものを覚えて、思わずメガネを避けて目頭を押さえた。

せっかく昨日は風呂上りの無防備な姿を同部屋の男子から隠したっていうのに。

あの後、星空鑑賞会では髪もおろしてたし、さすがに今日は大丈夫だと思った俺が甘かった。

それに服装だけで言えば、昨日より悪い。


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