アラビアンナイト
食堂の中を楽しそうに笑いながら歩いてくるありすを、俺は相当イライラした気持ちで見ていた。
すると、空いている俺の隣の席に瀬川が滑り込んできて、
「伊藤、気持ちはわかるが今は我慢だ。今お前が動けば余計に目立って高藤のあの姿がより注目されるだけだぞ」
と言ってきた。
くそっ!
わかってる!
と言い返したかったけど、危うく席を立とうとしたところだったから、ぐっと耐えるとともに唇を噛んで沈黙した。
それなのに、俺や瀬川とは真逆のことを考えた奴がいた。
そう、余計に目立つことを計算に入れて行動に移したやつが…。