アラビアンナイト
前を歩いていた忍ちゃん達が席に着いて、私もあと数歩でテーブルにたどり着くという距離。
でもそこで、立ち上がったジェイクに腕を掴まれた。
間近に立つジェイクを見上げた私。
にじんだ涙がじんわりと視界を曇らせて、一呼吸あとにポロリと零れ落ちた。
おかげで少しクリアになった私の目に映ったジェイクは、もの言いたげで、おまけに眉間をキュッと寄せていた。
「…ドウシテなく?オレ、ありすのこと、なくほどこまらせてる?」
こんなに好きって思って見ているのに、そんなこと言っちゃう?
ジェイクこそ思わず眉間に力が入るくらいなんだもん、私のこと困った奴だと思ってるんじゃないの?
自分の気持ちがうまく伝えられないもどかしさが、私の中のボルテージを急激に上げてしまったらしい。