できちゃった出産【ベリカフェ版】
 胎児のためによいとされることは、母体である自分のためにもよいことが多い。このことをあらためて自覚したんですよね。もちろん、好きなものを我慢するのは精神的にしんどいです。やりたくないことを頑張って続けることも同じく辛いです。でも、決して体にとって悪いことはないはずなんです。

 むしろ、健康を考えるならプラスのことが多いのですよね。お酒の量は減らせたほうがいいでしょうし、煙草だってやめるに越したことはありません。

適度な運動や食事制限、体重を把握してしっかり自己管理することなんて、ダイエットの基本ですからねえ。女子としては使えてお得なスキルですもん(笑)

 まあ、打算的っちゃ打算的でしょうか(苦笑)「じゃあ、自分に得がなかったらやらねぇのかよ!」って話になっちゃいますからねえ(汗) けど、やるもやらねえも、妊婦に課せられる我慢って逃れられないわけで……。

 どうせやるなら、我慢じゃなくて「自分のためのスキルアップ」みたいに考えられたほうが楽しいと思ったんですね。RPGで新しい呪文やら特技やらを習得をしていくみたいな気持ちで(笑)

 そういうわけで、私は「赤ちゃんのため」というより「自分のため」という感じで、運動も食事も頑張りました。中の人については「彼は彼で自分の仕事を粛々とすすめているようだ」という認識で見ていましたよ(苦笑)

「体の器官を作るのって大変そうっすね」

「まあそれなりに。ですが、今のところ問題なく作業をすすめていますよ」

「あ。この前、我慢できなくてわらび餅食べたら尿検査で糖出ちゃってすんません」

「そんなこともありますよ。こちらはエコーで愛想がなくて……」

「ああ、腕で顔が隠れちゃってた件ですか」

「タイミングが悪くて申し訳ない」

「先生は顔を確認しようと躍起になってたけど、あまり気にしないでください」

「かたじけない……」

なんだ、この会話……(苦笑)「かたじけない」って武士かよ!(爆)

 実は、中期に入って胎児がある程度の大きさになったときに、性別は教えてもらっていました。男性だと聞かされたときの感想は――

「やっぱりね(知ってたよ)」でした(笑)

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