溺愛されてもわからない!
家族の絆


しばらく
ベッドの上で頭を悩ませていたら
夢君から電話が入った。

「今日行けなくてゴメンね」

『待ってた』
とがった声に申し訳なく思ってしまう。

「ごめん」雫さんショックで行けなかったとはまだ言えない。

『冗談だって。何かあったのか?一夜に何かされた?』

どうしてそこで一夜が出て来る。
夢君の心配性。
一夜がエロ大魔王だから気になるのかな。

「違う違う。雫さんと一緒に遊んでたから遅くなって行けなかったの。ごめんね」

『それならいいんだ』

一夜を気にしすぎだよ。笑える。

『バイト入れるから会えなくなる。その前にちょっと会いたくて』

「えっ?そうなの?」驚き。

『今週の土曜日からね。土日は朝から夜まで。平日は放課後すぐから夜まで。近所の引っ越し屋さんで年末の従業員不足で誘われた。クリスマス前には終わるから安心して』

クリスマスか。

『夜に会いに行ってもいいけど、すみれの家は怖いからなぁ』って夢君は笑う。

たしかに
夢君が門を飛び越えて敷地に入ったら
警報が鳴り、田中さんが出て来てロックオン。

『クリスマスプレゼントぐらい、自分の力で渡したいし』

えっ?えっ?えっ?

『明日会える?』

「学校終わったら、たい焼き食べに行く」

『よかった。じゃ……あ、髪切ったよな』

「うん」

『似合ってる。可愛くて驚いた。じゃ』

そのまま通話は終わり。
私はベッドの上で心がフワフワ。
好きな人から言われる『可愛い』は魔法の言葉。

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