溺愛されてもわからない!

それから

普通の日々。
へタレな私は雫さんの顔を見ても
夢君の顔を見ても何も言えず。

雫さんが私に
夢君への気持ちを伝えてくれて
秘密の共有という連帯感もあるのか
夢君トークも多くなり
雫さんの恋する気持ちがヒシヒシ伝わるから
私は頭を抱えてしまう。

一夜的には友達なら正々堂々と
雫さんに私も夢君が好きと宣言せねば
後から困るから早く言え
なんだけど

夢君とは放課後会って
ほのぼのトーク。
こうやってツーショットで会ってる事を思うと、やっぱり気がとがめる。

でも楽しいツーショット。
嬉しいツーショット。

頭が混乱。
このままじゃアカン。

そして金曜日。
明日から夢君はバイトで忙しい。
名残惜しむように店先に並んで
たい焼きを食べる私達。

食べながら雫さんが気になる。

「元気ないな」

「そんな事ないよ」

「おばさんの調子どう?」

「疲れか風邪かな」

我が家はお母さんの体調が悪い。
月夜が一生懸命に面倒を見ている。
お母さんも忙しかったからね。
ちょっと休んだらいいよ。

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