溺愛されてもわからない!

後ろを振り返った時
夢君と目が合った

怒ってる。
雫さんと周りに対して怒ってる。

私は首を横に小さく振って『ダメ』って唇を動かす。
ここで夢君の正義感が出たら
雫さんはもっと怒るかもしれない。

夢君をセーブして
また前を向いたら……また再びの消しゴムが飛んで頭にヒット。
痛いんだって!

これは怒っていいだろう。
また振り返り怒ろうとしてたら
夢君の顔が本気で怖い顔になっていて
爆発寸前。

ヤバっ。夢君より先に怒らなくちゃ
変に慌てていたら

「そーゆーの嫌いだからやめて」

雫さんが怖い顔で一番先に言ってくれた。

嬉しい。やっぱり雫さんだよ。
優しい所は変わらない。

「あ……ありが……」

「なーんか、つまんないからサボる。保健室で寝てるわ」

お礼を言う間もなく
その長い綺麗な髪をかき上げて
私をまた無視して教室を出てしまった。


あーぁ
まだダメかぁ。

だよね。

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