溺愛されてもわからない!

そっと土下座状態から頭を上げると
呆れた顔で一夜が私を見ていた。

やっぱ呆れるよね。ごめん。

「夢より僕を選んだの?」
ゆっくりと言葉を確認するように
一夜は私に聞くので
私はうなずいた。

「夢の方が男らしいよ。一途で真面目でケンカも強いし、すみれちゃんを大切に想ってる」

「わかってる」

「僕には彩里さんがいるんだよ。そして家族だ」

「わかってる」

もう全部わかってる。

「僕は適当で、冷たいヤツだよ。夢の方がおススメだよ」

「わかってる」

「夢とやり直した方が幸せになるよ」

「わかってる。わかってるけど、自分の心に嘘はつけない。そんな気持ちで夢君と付き合ったら夢君に失礼だもん」

「それで、これからどうするの?夢の元には行けないし、僕ともくっつかないんでしょ」

「うん。もう……どうにもならないけど」

そう
どうにもならないけど

こうなったら
しっかり自分の気持ちを伝えよう。

心配そうな一夜の顔。
綺麗な顔の人はどんな時も綺麗だね。

「でも、自分に正直になりたい。だからこれでいい」

結果が悲しい結果でも
一夜にフラれても
夢君の元に行けなくても

これが私の正直な気持ちだから。


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