Turquoise Blue 〜空色のベース〜

「アワワワ

そんな泣くなよ〜
これから本番なんだから…

…とにかく俺は、
そんな感じで
仕事探して、頑張って
ジーンズショップで働きながら
音楽やってるわけだけども


普通に就職したら
俺は終わり。とか
思ってたけど
逆に生活、安定したしさぁ


客で良く来てた、青山と
知り合いになって
今Cheaやってるし、

何がきっかけになるかなんて
ほんとに解らないな〜と。

そうだよ
青山、あいつね

奴が当時居たバンドの
ライヴ本番の日に
うちに服買いに来てさ

試着室に、ベース忘れて行ったんだぜ〜」


「えええええ?!」



「あいつメチャクチャ上手いけど、
ずっと一人で
ドラムマシーンとか、MTR相手で
バンド初だったんだって」


「…だから……」


「ユリちゃん、だっけ

色々人それぞれ
事情はあるけどもさ
彼にちゃんと連絡して
君が……
後悔しないようにしてね
と、大人チックに言ってみたけど……


…体は、少し、楽になった?」


「…はい
暖かいお茶飲んだら…
後…泣いたら
楽になりました…」


「− 後、40分位で
本番だから、戻りましょう

お金払って来てくれてるお客さん居ます。
音楽を聞きに。

それが発生した時点で
君はプロです。

これ、俺の座右の銘ね」



「はい」

「はい。」




そう言って
ランニングをする緑川さんは
優しい雰囲気になっていた



…さっきの
ちょっと怖い緑川さんは

昔の緑川さんが
少しタイムスリップして
この場に居たのかなあなんて





− 不思議な、

気持ちになった







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