Turquoise Blue 〜空色のベース〜
「だからごめんって!

嘘だってば
ほら、ジャガ芋クンとか
インターで買ってあげるから」



−私は助手席を飛び越えて
後ろの席に逃げた。
青山さんのベースを抱える


「…真実の香りがしました
家に着くまで、ベースが人質です。」



「うわ  酷え 」

青山さんがゲラゲラ笑う



「……別に、
たいした事じゃないんだよ

…アズが当時
付き合ってた奴を
俺があんまり
好きじゃなかっただけ」



座席を動いて
運転席のシートに手をつく

「嫉妬じゃないですかそれ」




「…そういう、簡単なのでは
無かったな」


「簡単…」


「…嫉妬してたのは、そいつ
しかもアズにね」


「え……良くわかんない
彼氏が彼女に嫉妬…?」


「ミュージシャン同士だから」


「あ…」


「アズがそいつに
頼ってる様子も無かったし
いつもバイトしてたし

その割には
彼氏の方は、街で遊んでたの
良く見た


…バンドやめたのも
体悪くして倒れたせい

それで…色々あって
俺が救急車呼んだんだ」




「…泣くだけの、彼氏…?」


「……かな 」



「…どこが好きだったんだろう…」


「それは聞かなかったけど
俺や周りには解らない
理由があったと思うよ

一目惚れとかするタイプじゃ
あいつは無いし」



「…私のは…
一目惚れとかに近いのかな…」


「あいつ、かっこいいもんな」


「青山さんもかっこいいですよ?!」



「ありがとう。」


「…渇いた言い方だ……」






「…その人は
アズと、
しょって逃げてくれた人は
どんな感じだった?」



「え。なんかこう…
ラブ×2でしたよ?

こう…縋るみたいに
『彼女』は
駆け寄って行ったし…」


「縋る?!アイツが?!」


「はい」


青山さんが
両手でハンドルは
握ってたけど
背もたれに思い切り
安心した様に寄り掛かって
脱力する


そして息を 深く、吐いた





< 179 / 208 >

この作品をシェア

pagetop