Turquoise Blue 〜空色のベース〜


マキちゃんのおばさんが
お茶とケーキを
持って来てくれた


慌てて正座して
『こんばんは〜!』と挨拶



…おばさん、本当は
マキちゃんに音楽
やらせたくないのかな…

『趣味があるのは良い事よね』
とか
『学生のうちだけですもんねぇ』とか


そういうあくまでも、
『趣味』で終わらせれ。みたいな
優しい口調ではあったけど表面だけで、
ハッキリとした圧迫感があった


…マキちゃんも
それは感じてたみたいで


冷静に、おばさんを
外に押し出していた






「…ゴメン
うちの母親、可愛がってた兄貴が
家、出ちゃったからさ…
今度は私への執着がキツくて…」


「マキちゃん!
この五線譜なに?」


私はベットの上の
紙をヒラヒラさせた




「あ!…いや


その…そろそろさ
『オリジナル』とか
やってもいいかなって…」



『オリジナル?!』


「うちらだけだったじゃない
あの日、ライヴハウスで
オリジナルやらなかったの

別に焦るわけじゃないけど
…私もコピーばっかりで
作曲とかは
初心者なんだけどさ…
詩とかも、書いた事ないし…」



「…いいじゃん
皆でやろうよ」

私はそう言った



「うん〜。
私も、ピアノでなら
ピアノ教室で、課題があって
作った事あるし

ギターで作る曲と、また違うじゃない?」


「ハイ!!詩とか書きたい!」
シノが叫んだ



マキちゃんはちょっと、
泣きそうになりながら

「…じゃあ明日から
放課後、頑張っていってみようか!」

そう
短い頭を触りながら、笑った





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