Turquoise Blue 〜空色のベース〜






「ユカ! 学校遅れるよ!
いい加減に起きなさい!」


「ぅえ〜… だる〜ぃ………」


お母さんに
いきなりカーテンを開けられる

そしてドスドス歩きながら
弟の部屋に向かって、同じ台詞を言った



今日も天気は
無意味に晴れているらしい。
体育あるから嫌なんだよなあ…




布団の中で一回転しながら思う

毎日毎日、
お母さんはうるさい

基本、とにかくウルサイ。



お父さんは、どこが良くて
お母さんと結婚したんだろ



部活の時、ギターのマキちゃんが
私とお母さんは
顔がそっくりだと言った


−…ちょっとムカついた



「ユ〜カ〜
少ししっかりしなさいよ〜
あんたが好きな、あの歌手の女の子!

年、あんたと二つとかしか
違わないんでしょ?!」




「…別に…

好きじゃないもん…」


「じゃあ何でバンドで
その人の曲やってるのよ」


「……着替えるから出てよ」





一階から
みそ汁と、ご飯と、玉子のにおい


特売で
玉子が安かったとか言って
毎日玉子が続いてる


…朝はパンのがいいのに
それでサラダとかなら
まだ我慢出来るけどさ…



ばたばた腕を回しながら
パジャマを脱いで、セーラーを着る




「…本当は
ブレザーのトコが良かったな…」



ショートの髪をとかして
胸にリボンを結び、鞄を持った



そのまま下に向かおうとして

「あ ベース忘れた」



タンス横から
立て掛けてあった、それを取る



一ヶ月前に買ったから
まだソフトケースもピカピカ

かなり小さめのベースだけど
自分も小さめだから、かなり重い



店で、一瞬で決めた
空色のベース





 葉山ユカ 17歳

千葉県立夏ヶ原高校

放課後は
組んだばかりの初心者バンドで

ちょっとだけ
ベースを弾いたりしている










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