それは薔薇の魔法~番外編~
「私は貴女のことを許そうとは思わない」
大切な人を傷つけた、ましてその状態は危なかったと聞くし彼女の魔法は彼女の命に関わる危険なものだ。
みすみすそんな目に合わせた人間を許そうとは思えない。私もそこまで出来た人間ではないからな。
「当然ですわね。わたくしがシリル様のお立場でも同じことを思いますわ」
「にも関わらずローズを傷つけた理由を聞いてもいいだろうか」
リリアス姫は少し目を見張ってから穏やかに呟いた。
「シリル様、貴方と同じですわ」
わたくしも大切な人を守りたかった、ただそれだけですわ
そう言ったのち切なげに笑みを浮かべたリリアス姫をその場に置いて私は部屋を出た。
「ルーク」
「はぁ…リリアス姫様の言葉を借りるわけではありませんが…甘いですね、主は」
「性分だよ」
みなまで言わなくとも言いたいことを察してくれるルークに苦笑しつつも歩き出す。
まだ問題はあるとしてもひとまずローズに危害を加える人物は抑えた。これで一応は大丈夫だろう。
他に彼女を傷つけたものはいないだろうが警戒は怠らないようにルークから他の者にも伝えるように言う。あんな思いはもう懲り懲りだ。
「ローズ…」
やっと彼女に会えると考えるだけで心が軽くなった。