― BLUE ―
こうして期末テストが始まる。
だけど初日。杉本は来なかった。
2日目からは普通に登校してたけれど、とくに親しく話す関係でもないあたし達だから話すことはなかったし、目があうことすらなかった。
そしてそのままテストを終える。
あたしのテスト結果は、と言うと2教科が追試。
だけどこれは自分を褒めてあげたいぐらいの出来栄えだ。
「追試のもんは日程表配るから残れ〜〜」
この担任の声と共に追試のない人たちは、そろって夏休みへと突入した。教室には数人の生徒が残っていたけれど、その中に杉本もいる。
頭はいいはずなのに、どうしてだろう。——あ、そうか。初日のテストを休んでたんだった。
杉本はポツンと座って、ぼんやりと窓の外を眺めている。
「ね、杉本?」
これまで教室で話しかけたことはないけれど、近くまで行き声を掛けてみた。
だけどこっちをチラリとも見ようともしない杉本。その整った横顔を見つめながら、もう1度声をかけてみる。
「杉本〜〜??」
前の席に座りこみ、椅子をまたいで背もたれを持ちながら顔を覗き込むように話しかけた。教室に残っている数人のクラスメイトからの視線が刺さっている気がしたけれど気にせず続ける。
「杉本くーーん?」
杉本に話し掛ける事に対して、ほとんど抵抗がなくなっているかもしれない。
だけど当の杉本は頬杖をつきながら、あたしの声などまるで聞こえてないかのよう。
「うざい」
頬杖をついたままの状態で、杉本はこっちを見ないでポツリと言った。
そしてその後、また何も喋らない。
ふと教室を見渡すと目が合ったクラスメイトは視線をそらせてしまう。こっちを見ていたくせに。どこか近寄りがたい雰囲気を持つ杉本は、まだ少しクラスから浮いていた。
そんな杉本の腕を強引につかんで、無理矢理に顔をこちらへ向かせてみる。