眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「だって、しょうがないもん」

「悲しいのは、僕だけなんだ……」

とうとう、夏生の目から大粒の涙が零れ始めた。

……というか、これくらいのことで、泣かないで欲しい。

「ああもう!いい大人が泣かないの!」

「だってー」

「だってじゃない!
クビになったわけでもないし、離婚させられるわけでもないんだからね!」

「……うん」

「いままで通り、同じ学校にいるんだし。
ね?」

「……うん」

夏生はまだ、えぐえぐと泣いている。
立ったままだと、あたま撫でようにも手が届かないんだけど?
てか、そんなでっかい図体で泣かれると、逆に鬱陶しい。

「確かに、夏生が担任じゃないのは淋しいけど。
でもその分、バレる確率が低くなるでしょ?」

「……うん」

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